2012年12月31日月曜日

クリスマス2012


最近、読書会とか本屋イベントとかいろいろ行っているのですが、
クリスマススペシャルなイベントふたつが素晴らしかったので、記録しておきます。


■猫町倶楽部クリスマスパーティー
2012年12月23日15:00-
UNICE@代官山
課題本:森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』
対談:犬山紙子、峰なゆか
参加者:100名強(その後のクリスマスパーティーは200名近く参加)

HPも渋く、参加条件は課題本の読了と厳しいので、禁欲的な読書会だと思っていましたが、会場の雰囲気はまったり。ケーキとか出るし、ドリンクはジュースも選べるし。女性と20代が若干多めな印象ですが、満遍なく本好きが集まっているように思いました。
カフェは貸し切り。8人前後のテーブルに別れて自己紹介後、課題本について語りました。各テーブルにはファシリテーターという司会進行がいるので安心です。私のテーブルでは日本人作家の小説を良く読みますという方がほとんどでした。「ロシアや東欧の小説が好き」と言った私は空気読めない子だったかも…と反省。
「このヒロイン、友達居ないよね」
「どうってこと無いことをこんだけクドく書くから、最初読みづらかったけど、だんだん好きになった」
「森見登美彦って頭いいんですよねー」
「電気ブランって本当にあるお酒なんですか?」
「天狗とか言って不思議な雰囲気好きだなー」などなど。
同時に、各テーブル15分ずつぐらい犬山さんと峰さんがまわって、『夜は短し歩けよ乙女』についてお話ししました。

この課題本は峰さんが、近年まれに見るヒロインが気持ち悪い本として選定。村上春樹『1Q84』と迷ったとのこと。
「ずーっと日本の文学で描かれて来た理想の女って、詳しく書くと全部このタイプの女なんだよね」と峰さん。
「ヒロインの処女性をきわだたせる為に、絶対にかませ犬役の女がいる。いわゆるビッチ。そうゆう女には『ぽてぽて』とか『よちよち』とか『ちょこんと』とかいう擬態語を使わない。」とは犬山さん。
「主人公の男はさ、基本マグロで受け身なんだよね。可愛いけど。」
「春樹男子(村上春樹が好きな男子)って、夏目漱石が"I love you."を『月が綺麗ですね』って翻訳した話、異様に好きだよね。」
「BOOKOFFに行ったら絵本コーナーの『おおきな木』をチェックしてね!」

「読書会って、合コンじゃないって言い訳できる出会い系だよね」という犬山さんの評価は間違っていないと思いました。実際、そうだし。私も「読書会に参加する人」に会いたくて参加したんだし。
ぱっと見めちゃくちゃ美人で高圧的で話す内容もかなり毒気強いけれども、面白くってとっても優しいお2人でした。サインもらった!うれしい!当初の目的を完全に見失い、最終的にはただのファンになりました。

人数も多いし、課題本によって参加者だいぶ違うようなので、何回も行くと面白いかもと思える読書会でした。次はビジネス書の読書会行きたいなー。



■第24回 読んでいいとも!ガイブンの輪 年末特別企画「オレたち外文リーガーの自信の1球と来年の隠し球」
2012年12月25日19:00-
東京堂ホール@神保町
登壇者:豊崎由美×作品社、水声社、国書刊行会、白水社、早川書房、河出書房新社
参加者:80名

開始早々、登壇者は缶ビールを飲み始める。
自己紹介とイチオシ本と来年の隠し球紹介で時間いっぱいいっぱい。質疑応答無く終了。「此処じゃないどこか」を追い求めるのが好きな人たちで、かなり濃い話をきけました。
豊崎由美さんは、雑誌の対談・コラムなどで結構怖いイメージを持っていましたがそんなことありませんでした。言っていることは同じだけど、活字と全然雰囲気違いました。
外国語で書かれた作品を、日本語で読めることが自体が奇跡。本に関わる全ての人のことを考えて、パラパラとページをめくって2段組みなのかどうかを確認して、文字単価を計算してから買って欲しい。「やっすーい」と思って欲しい。2400円なんてタダみたいなもんだ。12000円の本だって、まぁ1200円ぐらいな気持ちよ。とのこと。
早川書房の山口さん、のりのりでした。
ジャネット・ウィンターソンが好き。だめな人が出てくる本が大好き。なんで真面目な人の話なんか聞かなきゃいけないんだ。ガイブンを読んでいれば、日本なんか天国だ。まだまだ自分はダメじゃないと思える。などなど。
噂の多い白水社の藤波さんですが、どうやらお酒の量が少なかったらしく、真面目な話ばかりでした。ロベルト・ボラーニョ『2666』、企画会議では26660円にしようか迷った、とのこと。
国書刊行会の樽本さんと、水声社の下平尾さんの「下には下がいる」発言は面白かったです。ガイブン以上に売れない本がある。映画本だ。映画本よりも売れないのが音楽本。その下に、戯曲や演劇本があって、詩集はもっとも売れない。というか、まず社内の企画会議に通らない。などなど。
作品者の青木さんが、「社内に営業部がないので、全国の書店営業もしながら編集もしてます」と言う話を聞いた会場の反応。…もしかして参加者みんな出版関係者なんじゃないかなっ!
河出書房の島田さんは、「復刊は、下手な新刊なんかより、確実に売れる。」とおっしゃっていました。ふむふむ。
最後は、豊崎さんから献本ダブり等を詰め込んだ福袋1個をめぐってじゃんけん大会。全員プレゼントに、twitterでも騒がれている、各社の来年のおすすめ本リストもらいました。

編集者の皆さんの情熱にあてられて、のぼせました。
話に出てくる知らない作家や知らない本をメモってゆくのも精一杯なかんじですが、未知なものから逃げたらおしまいよっ!と思って、次回も行ってみようと思います。

2012年12月24日月曜日

ポーランド愛の話


現在2年程、on and off でポーランド語の勉強を続けています。
理由は大好きな小説を原語(ポーランド語)で読みたいっ!と思ってしまったから。
詳しく書くと、ヴィトルド・ゴンブロヴィチの『ポルノグラフィア』を冬支度の始まったポーランドで、ポーランド語で読んで興奮のあまり鼻血を出して死にたい、と思ってしまったから。
如何に生きるかと、如何に死ぬかは同義である!混沌とした時代で将来に不安を覚えていた私は、こんな方法で毎日を楽しく過ごす術を得たのでした。


そして最近は、ポーランドイベント盛りだくさんだったのです。
まずは岩波ホールでの『菖蒲』上映。私は一昨年のEUフィルムデイズで見ているので二度目なのですが、素晴らしい。
この生者にまとわりつく死臭、終焉の予感が、若者をより美しく魅せる。ゴンブロヴィチの作品にも通じる何か闇の香りが確かに、ある。なんなんだ、これは。泣きたい。こんな素晴らしい芸術がこの世の中にあるのか!と衝撃を受けた作品です。




そして、渋谷で行われたポーランド映画祭2012。
どうせ見れるなら解説付きの上映に行こうと一日予定を開けておいたのですが、まさかの(大変失礼)満席。午前中に行ったのに、夜の回しかチケットがとれずに、突然の暇。青山マルシェでビーツを買って、ボルシチ作ってしまったわ!(ポーランド風のビーツのスープ「バルシチ」はどうやら難しそうだったので、ロシア風「ボルシチ」でご勘弁)
鑑賞した『水の中のナイフ』は1962年制作のロマン・ポランスキー初監督作品で、とっても影の美しい白黒映画。共産党政権下のポーランドでは、女性の裸姿、妻の不倫というテーマ、作品中に流れるジャズがタブーだったのですが、西側諸国で大絶賛されたという、時代を感じる作品です。夫婦と青年の対比、価値観の違い、貧富の差、社会的立場の差などがぎゅっとボートの中に詰め込まれた濃厚な作品です。
上映後の解説では、イエジー・スコリモフスキ監督という偉大で超キュートなおじさまが登場。ロマン・ポランスキー監督と撮影秘話なども教えてくれました。
当時ポーランドでは、アメリカ文化の象徴として、ジャズの演奏が禁止されていたので、各地で地下演奏会が開催されていたこと。作品中の自家用車はベンツだったが、政府の圧力によって外身はプジョーで撮り直したこと。撮影中、控えている救助隊が骨折したことなどなど。

それから気になって気になってしかたなかった、Szaza(シャザ)による生演奏を鑑賞。
無声映画に生演奏をするなんて、高校の歴史の資料集でしか見たことが無かったものが体験できるなんて。音楽はエレクトロニカ。私の趣味を調査したような、平沢進のハルディン・ホテルのような、奇妙で不安になる音楽です。
目に涙がにじんだ。もちろんCDも買った。
どなたかこんな感じの音楽を他に知っていたら教えてください。大好きです。


そして私はついに行った!冬のワルシャワへ。
寒い国の真骨頂は寒い時だよね、とか思ってわーいと飛んでみたけれど、ほんとうに寒かった。白かった。
自分の足音さえ聞こえない、真っ白で無人の公園を歩きながら、私は死ぬことばかり考えていた。死んだらどうやって発見されるんだろう、とか、ちゃんと日本人だって分かるかな、とか、パスポートに実家の電話番号書いとかなきゃとかそんなこと。
ロシアやポーランドの文学作品は何でこんなに死ぬことばかり考えているんだろう、と常々不思議に思っていたので、本当に行って良かった!私も死ぬことばかり考えていたよ!
「そんなの東北でも十分体験できるぞ!」と会社の先輩に言われましたが、その他の感想はまた後日。