2015年2月17日火曜日

犬たち

犬たち

熱狂する恋人たちも 騒がしい学者どもも
早春の頃ともなれば 等しく犬を愛す
義理堅くもわがまま 私の思慕たる犬
主人同様せっかちで 食べるのが好きな生き物

鍛錬の友にして快楽の友
衝動と快楽の闇を追い求めるもの
もしも一目で噛み付かなければ
ディオニソスも酒の友にしただろう

彼らが物思いに耽るときの姿は
ささやかな風にゆらめく柳のようだ
冬の窓辺でまどろむかのような

そのしなやかな足には 軽快な音楽が発し
その深淵な目には 星雲のごとき
燃えるかけらが 柔らかく光る




2015.02
犬と一緒に住む人。
元ネタはボードレールの『猫たち』

春休み

午後4時に 空を仰いて 春を見る
人は寒さに 身を固くする

午後4時に 空を仰いて 春を見る
人は北風に 身を固くする


2015.02
私より早い春休みが本当にうらやましい。

私小説『きのこのマリネ』

私が作るマリネはまずい。
料理が苦手な訳じゃない。鯖の味噌煮や豆カレー、ボルシチを作るのが好きで、自慢じゃないが、良く褒められる。友人の誕生日に鳥の丸焼きを作ったこともある。
マリネはだめだ。なぜかだめだ。普段あまり使わない計量スプーンで、慎重に作っても、まずい。茄子でも、きのこでも。
マリネより苦手なものは観葉植物だ。
一番育て易いと言われているアイビーを何度も枯らしている。ちなみにミントも枯れた。
唯一健康に育っているのは、実家から連れてきた多肉植物。
しばらく存在を忘れていたのだが、冬の、酷く風が強い夜にベランダを覗いてみたら、満開に花を咲かせていた。
わっと、無責任にも心が沸き立ち、仲間が必要だろうと観葉植物を買ってきた。みるみるうちにしぼんでゆき、やがて全ての葉が落ちた。

母の日の前日、行列にまじって多肉植物を買った。
きのこのマリネを作った。
ちょっと、塩味が足りなかった。

2014.05