2008年4月7日月曜日
『灯台守の話』
『オレンジだけが果物じゃない』を読んで気に入ったので、買いました。
一緒に買った『アメリカにいるきみ』は、イマイチだった。
『灯台守の話』 ジャネット・ウィンターソン 白水社
盲目の燈台守ピューに引き取られた、孤児のシルバー。
閑散とした港町の外れにある灯台で、闇と一緒に暮らすふたり(と一匹)。
小さな限られた世界。
しかし、海は、果てしなく広がっている。
ピューの物語る膨大な話の中で、シルバーは育った。
「あなたが書いているのは一つの人生についてですか、それとも複数ですか?自分にはいくつもの人生があると、感じることはないですか?」
「それはもう。たった一つきりの物語を話すなんて、そんなの不可能です」
「しかし、そうするべきかもしれませんよ」
「始まりがあって、真ん中があって、終わりがあるような?」
「ええ、まあ、そんなようなものです」
…中略…
「先生はジキル博士とハイド氏のお話を知っていますか?」
「ええ、もちろん」
「つまりね―ジキルにもハイドにもならないためには、両極端のあいだにあるすべての人生を見つけなくちゃいけないんです」(p.170-171)
鬱病患者は、自分がどれだけ辛いかを話すことだけに、全力を尽くす、と言われたことがある。
自分を物語るということが、生きる糧となる。
シルバーとバベル・ダークの物語りは、自分と世界を繋ぎ止める、命綱であった。
生きるために、必要なこと。
そして生きた足跡。
複雑に、いくつもの物語が絡み合った構成。
世界はいつもこんな感じなんだ、と思った。
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