2012年10月28日日曜日

庭園倶楽部2012


ちょっと前に、ワタリウムの庭園倶楽部の事を書きましたが、講義も終わってしまったので思い出に進士五十八先生のお言葉をメモしておきます。庭園の歴史とか、石の種類とかは先生の著書で確認できるので、書かなくていいや。
先生はとっても博学で美しいものが大好きで、なんだかとっても、心温まる人です。来年も進士先生なのかな。わくわく。(下の写真は一回も日の目を見る事が無かった、会員証)



ちょっと衝立があって落ち着くカフェのはしっこの席。そんで美味しいものが出てくる。これが庭園だ。
庭ってものを、みんな勝手に解釈する。まぁどっちでも良いんだけどね。
借景のテクニックは、劇場なんかで椅子に鉛筆を置いておくこと。誰も傷つけずに自分のものになる。
つまらない山、木、寺、岩に光を当てる、名前をつける。ストーリーを与える事。これがman-made landscape。想像しやすいものづくりをしなきゃ。
文化は政治より長持ちする。
"自然"なんて自然が周りにある時は言わない。都市化による自然回帰だ。
私は一神教が嫌いなんだが、…
私は中国が大好き。
観光って言うのは、その国の光を見ることだ。
中国の隠遁者は結構便利なところに隠遁するんだよね。上海なんて。ほんとにするならチベットとか行けばいいのにね。京都もそうだけど。
庭園はすごく金がかかる。汚職ぐらいしないと無理なんだから。
中高一貫校なんて馬鹿げたものを作って。節目、句切れがあるから、ああ、今度はこうやってみようっていろいろ試して人間は成長するんだ。
私は若者のためにしゃべる。日本を救う為にしゃべる。
日比谷公園のカップルは皆、背山臨水の体制をとる。
軽くキスするカップルと、もっとそれより…っていうカップルは同じ公園でも違うところに陣取る。それが造園だ。
ほんとだよ。全部調査したんだから。
ラブホテルの入り口ってやつは、実に趣向を凝らしてあるんだ。
皆さん、デタラメな話ばっかだって思ってるでしょ。そんなことないよ。ぼかぁ紫綬褒章もらってんだからね。

2012年10月20日土曜日

ダンストリエンナーレトーキョー2012

新しいことを吸収したい。何かこう未知の、他人の情熱を受け止めたい、と思っている私にはとても良いタイミングで素晴らしいイベントがありました。



去年ドキュメンタリー映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』を見てから私はすっかりコンテンポラリーダンスの虜です。足首を痛めていたのに、映画を終わった後、劇場の前でジャンプしてしまったぐらいです。そういえば、東京レズビアンゲイ映画祭で上映された『夕立ちのみち/Cloudburst』にも、コンテンポラリーダンスのダンサーが出てきました。

ダンスが身近にあるときは、いつも、昔見たラテン系ダンスの舞台映像を思い出します。問題のある解釈だとは思いますが、ダンスってセックス(性行為)の延長線上にあるんだ!と完全に魅了されて、画面から目が離せなくなりました。当時の私は、自分の身体について酷く悩んでいました。自分の身体に完全にアイデンティティーを失い、顔の筋肉は強ばり、猫背で脚を引きずるようにしか歩けなかった私には、全身の体を大胆に使って汗をかき喜びを表現するダンサーたちが、とても輝いて見えたのです。そして、「これが巷で噂のセックスか!そうか、この人達は楽しいのか!」とチェリーな発想をしたのでした。いまでもあの感覚は、初めてAVを見た衝撃、としか形容できません。



さて、ダンストリエンナーレトーキョー2012で見た作品は2つ。
オムニバスのダンスフィルム『ダンスと都市空間・ダンスと建築』と、ヤスミン・ゴデールの『LOVE FIRE』でした。
本当は、日本人の舞台を複数上演する『JAPAN FOCUS』というプログラムも見るつもりだったのですが、チケット予約だけして安心して支払いを忘れるという失態を犯して見る事ができませんでした…!ばかっ!

『ダンスと都市空間・ダンスと建築』@渋谷イメージフォーラムは都市工学を勉強中の友人と見に行きました。
ラインナップは以下。

『風の景色』監督:大内田圭弥 振付:土方巽(1976)
『ダニエル・シュミットの大野一雄』監督:ダニエル・シュミット 出演:大野一雄 撮影:レナート・ベルタ(1995)
『水の話』監督:ヴィットリオ・ネヴァーノ 振付:カロリン・カールソン(1988)
『私のタンゴ』監督:ヤナ・ボコヴァー(1985)
『スティック・オン・ザ・ムーブ』監督:プー・ケイ+エリザベス・ロス(1983)
『ルーフ・ピース』監督:バベット・マンゴルト 振付:トリシャ・ブラウン(1973)
『ビルの側面を歩き降りる人』振付:トリシャ・ブラウン(1970)
『ヤマカシ』監督:アリエル・ゼトゥン 原案:リュック・ベッソン(2001)
『Mammame』監督:ラウル・ルイス 振付:ジャン=クロード・ガロッタ(1986)
『サーカムナビゲーション(リガ)』監督・振付:N+N・コルシノ(1992)
『トピックII』監督・出演:パスカル・バエス 出演:サラ・デニゾー、ローレンス・ロンドーニ、ジェローム・ベル(1989)
『Muurverk』監督:ヴォルフガング・コルブ 振付:ロクサーヌ・ウィルマン(1987)
『ローザス・ダンス・ローザス』監督:ティエリー・ドゥ・メイ 振付:アンヌ=テレサ・ドゥ・ケースマイケル 出演:ローザス(1997)

全部良かったのですが、その日は『ダニエル・シュミットの大野一雄』がどんぴしゃりでした。ダンス、風景、音楽、水の音、汽笛、全部ステキです。



ヤスミン・ゴデールの『LOVE FIRE』@青山スパイラルホールは、会社の後輩と見ました。1ヶ月ぐらい前から約束していたのに、チケット買えませんでしたと平謝りして、2人で当日券に並びました。はー、緊張した。買えてよかった。
ポップで残酷で、情熱の率直さが可愛らしくて狂気的でもう「私は何を目撃してしまったのか」という感想です。ゴムで出来た内臓が飛んで来たり。ほんとチケット買えてよかった(涙)


その日は、『LOVE FIRE』の後、ひとしきりお互いの好きなものを語って、野外で行われていた東京ELECTROCK STAIRSのパフォーマンスを見ました。そのまま帰るのは申し訳ないので、渋谷パルコで行われていたCP展も見て、後輩とさよならしました。
そして私はその後は別の友人と、新宿2丁目で行われたイベント「真夜中は別の顔」に行きました!満足、満足。

2012年10月1日月曜日

ワタリウム美術館いろいろ


庭園倶楽部の中国研修
三日間で上海、杭州西湖、蘇州拙政園をめぐるすごい弾丸ツアー

無理矢理組んだぎっちぎちの行程で、頭に詰め込められるもの全部詰め込んで来た。と言いたいが、ほぼ寝てた。
ほとんどの時間を飛行機か高速バスに乗っていた3日間だったので、とても良く寝た。
この件に関しては、確か澁澤龍彦が、人間は速く移動すればする程眠くなる、的な新幹線批評を書いていたので仕方ない。

そもそも、なんで庭園倶楽部に入ったかというと、決して私は庭園が好きな訳ではない。
ただダイレクトに季節を感じられるものが好きだ。
梅や藤が好きだ。花見に合う酒を選ぶのが好きだ。筍やハモやしめ鯖を買ってじっくりお酒を選ぶのが好きだ。
実家近くの国立公園にドングリ拾いに行ったり、和菓子を食べに小石川後楽園に行ったり、自転車買って向島百花園に行ったりする程度。
いつかは、縁側に座って季節の草花を楽しみながら友人と酒を飲むのを夢見ている。景色を眺めて「風が気持ちいい」と言って酒を舐めたい。妄想が止まらない。
他の参加者は、庭を見に全国巡るぐらいだから、私はただの子どもの趣味なんですよ。



中国で得たことは、「庭園とはそうゆうことか!」そして「観光とはそうゆうことか!」。

■庭園とはそうゆうことか!@上海豫園、蘇州拙政園
庭園はMan-made Landscapeだからね、と先生が何度もおっしゃっていました。
囲まれた狭い(日本人的には十分広いが、ここが大陸であることを考えると狭い)土地を如何に楽しむか。一線を退き、北京から隠遁生活をしにやってきた大金持ちが、あと何十年も過ごすこの狭い庭で、何をしたかったのか。
客人をもてなす。若い娘と遊ぶ。詩を読む。食料を確保する。労働機会を創出する。
「こ、これはディズニーランドではないか」と思わせるような入り組んだ道、壁の隙間、橋、鏡、木、池。
庭は古代から、必要だったんですね。

■観光とはそうゆうことか!@杭州西湖
古代から漢詩に読まれ、水墨画に描かれる美しい西湖。
近代化によって水質汚濁、水面低下、下流の洪水問題が浮上し、西湖を管理する行政は立ち上がった。
西湖の水質汚濁の著しい区域の工場、民家(というか町全体)を立ち退かせ、近くに浄水場も作り、西湖全体に街路樹を植え、西湖十景を再現。観光名所をつくり集客、船での交通(つまり商売)を発達させ、もちろん既存の漁業も保護する。伝説の西湖を蘇らせた。
個人の財産という価値観の無い共産党政権下だから出来るカミワザです。
少々、荒さの見え隠れする場所ですが、「ここ良いよ!」と言われると人間はみな見たくなるのですよ。
先生は、東北の復興もこうあるべきだと何度も主張していました。西湖の復活も、根本は治水だったのです。




帰国して疲れも残るあいだに、ワタリウム美術館で『夢見る美術館計画 ワタリウム美術館の仕事術』の出版記念パーティーがありました。
実はこの本、中国移動中にせっせと読んでいたのです。
錚々たるたる芸術関係者の中にまぎれ、ただのワタリウム美術館ファンは、進士先生に挨拶し、しっかりご飯もお茶も和菓子も特別映像も全部楽しみ、夜の町に繰り出しました。