2008年7月11日金曜日
『ポルノグラフィア』
大学の図書館で、紙の匂いがする本を発見。
河出書房の人間の文学シリーズの26。
1967年の初版本。
『ポルノグラフィア』 ヴィトルド・ゴンブロヴィッチ著 工藤幸雄訳 河出書房
あれ?
これ、結構いい古本なんじゃない?
『春本』なんて題名の本が、ただのエロ本であるわけがない。と確信して。
装丁もかわいい。
鼻血が出るタイプのエロじゃなくて、
よだれが出るタイプのエロ。
はい。大好きです。
「目の前をゆく彼女の動きは、ある種の方法で少年とかかわりをもっているようにも見える。おなじく群衆にもまれながら、すぐ近くでもがいている彼の体の動きにひそかに答え、ささやきかわすかのようだ。本当に?目の迷いではないか?(中略)
彼女の中のすべてが(彼のために)存在していた。少しはなれて、人びとの間を平静に歩いている少年も、じつは彼女の方に惹かれ、彼女によって緊張している。昂然と、あたりかまわず、しかも落ち着きはらって群衆に混って進んで行く、自分自身に惚れこみ、憧れながらあれほどまで無関心なさま!ああなるほど!そうか!一目見たときから私を圧倒した彼の秘密が、いまこそ分かった。」(p.32)
「私には分かっていますよ、そうすることは彼らにとって、あまりにも完全すぎるから。あまりにも完璧すぎる。
不完全が完全になる、これが鍵です!
偉大なる神よ!あなたは完全そのものだ!だが、あれはあなたよりはるかに美しい、私はこの手紙で、あなたを否定します。」(p.182-183)
「『失礼!sex appealのことを考えていたんです。普通そう呼んでいるものを。二人がいっしょにいるのを初めて見たとき……一年も前ですが……すぐに気がつきました。セックス・アピール。引力、性的引力です。(中略)
いまになって、それがもしかしたら――私の想像以上に、何よりも悪いものではないかと恐ろしいのです。(中略)
二人は地面に倒れた……どうも違う、普通の動きではありません。それからすぐ起き上がった――これも違う。そうして立ち去る、やっぱり違う。あれは何です?何の意味です。ああいうもんじゃありません!』」(p.208-209)
そう、不完全だから美しい。
完全に憧れ、自分の不完全さの魅力に気づかずに、
堂々と不完全を人目に晒している。
こんなにも、人を楽しませている事も知らずに。
その無知もまた美しい。
もちろん古本屋さんに注文しました。
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